これまでの回では、僕と三輪室の紹介的なところから始まって、人事の仕事や働き方を少し広い視点からお話してきました。今回はそこから少し実務に近づいて、「就業規則」というテーマについてお話してみようと思います。
名前はよく聞くけれど、なんだか堅そうで、ちょっと距離を感じる言葉かもしれません。僕自身、人事の仕事をしていて、この就業規則という存在には何度も助けられ、そして時には悩まされてきました。
社員という立場からすれば、「ルールで縛られているように感じる」と思うこともあるかもしれません。でも実は、就業規則って“守らせるためのもの”というより、従業員を“守るためのもの”なんですよね。
例えば、会社で仕事をするための基本的なルールやお休みの制度。そして、安全で健康に働くために大切にしてほしいことなど。それらは、従業員が安心して日々を過ごせるように、そして会社がある意味で制度を公平に運用できるように。その両方のバランスをとるためにあるものなんです。
一方で、いざ現場で運用していると「規則にはこう書いてあるけど、実際どうしたらいいんだろう?」というグレーゾーンに出会うことも多いもの。そんな時こそ、人事の出番だなと思います。
ルールをそのまま文言どおり当てはめるだけではなく、「この人にとって」「この会社において」どうあるべきかを一緒に考えていく。そのプロセスが、人事の本当の仕事なんだと思います。
僕が人事の仕事をしていていつも大切にしているのは、規則を「壁」にするんじゃなく、「橋」にすること。それがあることで社員も会社も安心できて、信頼関係が生まれる。そうなれば、規則そのものが、いわゆる「働きやすさ」の一部になっていくんじゃないかなと感じています。まさに「はたらくを整える」なんです。
これからも就業規則をはじめとしたさまざまな規則は、時代やそれぞれの会社のめざす方向性や環境に合わせて、少しずつ変わっていきます。でもその根っこにあるのは、いつの時代も“従業員を守る”という考え方なんだろうと思います。
次回は、そんな「ルールを運用する現場」で実際に起きた気づきや、人事担当としてどう向き合ってきたかについて、お話してみようと思います。